5: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:02:03.86 ID:OJA0wgUK0
だから、その日の一週間後にプロデューサーが答えを教えてくれるはずだった。
……こう言うということはつまり、プロデューサーは一週間が経過しても答えを教えてくれなかった、ということだ。
誤解が生まれそうなので先に弁解しておくと、プロデューサーがただ単にこの日のことを忘れていたわけではない。
いや、ただ単に忘れていただけなのかもしれないけれど、忘れていたにしても、ちょっとした事情があるから仕方がない、ということだ。
だってこの翌日――プロデューサーが緑色の空について話した翌日から、私はプロデューサーの担当を外れることが決まったんだから。
その日は何の変哲もないはずの月曜日だった。春休みでやることもなく家でだらだらしていると、プロデューサーから連絡があった。
今の部署から外れて、新設予定の部署へと移る要請があったこと、それに伴って私の担当を外れることになったこと、別の人が私の担当に就くこと。
画面に映る文字の羅列は、ただひたすらに文字の羅列としてのみ私の視界に入り込んできた。
私の身体は布団に入ったまますっかり硬直して、急激に早まった心臓の音が、他人事のように鼓膜を震わせていた。
小一時間部屋で固まってから、私は無言で立ち上がった。
頬を叩いてみても、少し部屋を歩き回ってみても、はっきりとした意識と五感が、これ以上ないぐらいにここが現実であるという現実を私に突き付けていた。
ただ頭が空回りするばかりで、素直な感情表現が出来ない自分に嫌気が差したのを覚えている。
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