40: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:28:44.59 ID:OJA0wgUK0
「……別に、分かってほしいわけじゃないし」
「やっぱ起きてるんじゃん」
「うるさいなぁ、もう」
「……担当が変わったこと、まだ拗ねてんのか?」
「……別に」
目を開くと、目を閉じる前と同じように、視界いっぱいに天井が広がっていた。
身体を起こして見遣った時計は十時半を越えたところを指していて、窓の外はいつの間にやら真昼の様相に様変わりしていた。
そのまま軽く勢いをつけてソファーから立ち上がる。
「……杏は」
プロデューサーが微かに身体を震わせたのが分かる。
私はそんな彼の反応を見て調子づく。
口の動くままに言葉を発する。
「杏はさ、死ぬまで一生……とまでは言わないけど、少なくともアイドル辞めるまではさ、プロデューサーと一緒にいるものなんだと思ってたよ」
今思えば、私はムキになっていたのだろう。
言わなきゃ分からないなんて当たり前のことを、さも私が知らないことのように悟った風に言われて、反撃をしたくなったのだ。
そっちがそういうことを言うなら、私にだって考えがある。
「ね、プロデューサー」
プロデューサーがもう一度身体を震わせるのを見て、心の中でほくそ笑む。
ソファーに腰を下ろしているプロデューサーの顔を睨むように見つめると、彼はふいと目を逸らした。
プロデューサー、それは甘いよ。
目、逸らさないでよね。
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