39: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:28:10.74 ID:OJA0wgUK0
「何でもいいや」
「何でもいいってことはないだろ」
私は返事をすることなく黙っていた。
これは単純に色々と思考を巡らすのが面倒になったからであって、一週間前みたいに拗ねたりいじけたりしていたわけではない。
――プロデューサーの近づいてくるような足音が耳に入って、誰かに追いかけられているような緊張感と期待感が、私の胸を高鳴らせた。
「あのな、杏」
何をするのかと思っているうちに、プロデューサーはソファーに腰掛けたようだった。
振動が直に伝わって、私の頭をぐわんと揺らした。
寝息を立てるように、わざとらしく呼吸の音を響かせてみる。
プロデューサーは私が狸寝入りしていることに気付いていたのだろう、そのまま言葉を続けた。
「そうやって急に黙られても困るんだ。言わなきゃ分からないんだよ」
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