19: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:12:31.44 ID:OJA0wgUK0
「で、答えは?」
「杏も知らないんだよ」
「え」
耳に入ってきたのはひどく素っ頓狂な返事だった。
私はなぞなぞを口にしたはいいものの、その先のことを考えていなかったのだ。
――彼を宙吊り状態にしてしまったことに、少しだけ申し訳なさを感じた。
なんだ、それ。
だからさ、一緒に考えてよ。
答えを知らないのに出題したのか。
答えを知らないから出題したんだよ。
すごくもやもやする。
杏だってもやもやしてるんだよ。
それからは、二人で懸命に答えを考えた。
でも、乾ききった布を絞っても水が溢れ出してくることはないように、無い知恵を絞ったところでそれらしい答えは得られなかった。
結局、いっそ忘れようという結論に達して、事務所に着く頃には、そんな会話があったことも頭の中から抜け落ちつつあった。
その日の午後はすぐに家に帰る予定だったけれど、私は新しいプロデューサーに断りを入れて、事務所で過ごさせてもらうことにした。
何故かって?
答えが分からないのは、もやもやするからね。
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