双葉杏「透明のプリズム」
1- 20
15: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:09:24.68 ID:OJA0wgUK0


「いや、ずっとキャラを作ってるものだと思ってたから」


彼は驚きのあまり、丁寧語というオブラートを取り外したようだった。
曰く、担当になってから2週間が経過しても「飴くれ」のあの字も言わないし、飴玉を頬張っているのを見ることもないから、飴が好きというのは戦略的なキャラ付けだと思い込んでいた、とのことだった。
――私が飴をここしばらくの間口にしていなかったのは、飴をくれる人もいなかったし、ものぐさな私は飴を自分で買いに行く選択をしなかったから、というだけだ。


「飴は好きだけど、わざわざ人に向かって言わないでしょ」

「飴、やっぱり好きなんですね」

「……それさ、丁寧語は止めた方がいいよ。変に壁作っちゃうし」


私の言葉に説得されたかどうかは怪しいけれど、それ以来、彼は丁寧口調で話すのをやめるようになった。
無理して丁寧語使っても胡散臭いよ、と正直に思ったことを口にすると、彼は、そんな風に思われてたのか、と脱力するように呟いた。
あまりに情けなく聞こえて、思わず吹き出してしまったのを覚えている。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
117Res/151.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice