双葉杏「透明のプリズム」
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14: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:08:58.31 ID:OJA0wgUK0


「双葉さん」

「何?」

「何か、欲しいものはありますか」

「……藪から棒にどうしたの? ……欲しいもの、かぁ」

「出来れば、休み以外でお願いします」


休み、と答えようとした矢先に、先回りされてしまった。
色々と欲しいものを頭に巡らせる。
そりゃ、お金だとか不労所得とか安定した生活だとか、欲しいものは色々ある。
けれども、質問の意図はおそらくそういうことじゃない。
これはきっと、環境の話だ。
例えば、部屋に本棚が欲しいとか、ソファーにクッションが欲しいとか、そういう類の質問だ。


「そうだなー……」


そして、私が欲しい環境は、もっと独善的なものだ。


「飴、かな」

「飴ですか」

「なんで意外そうにしてるの」


彼は大きく目を見張っていた。
彼のそんな顔を見るのはこれが初めてだった。
そして、彼がそんなに分かりやすく驚く理由も掴めなかった。
――アイドル双葉杏が飴玉を好物としているのは、周知の事実だったからだ。




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