12: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:07:11.79 ID:OJA0wgUK0
夜7時の事務所にはひんやりと冷気が漂っていた。
そもそもこんな時間まで残っているようなのは私ぐらいのもので、他の子たちは出払っているし、社員の人ですら多くが勤務を終え会社を後にしている。
『一階下の、エレベーターを降りて右の部屋』
エレベーターを待っているとき、ふと思い出した。
乗り込んでから、一階下の階――七階だ――のボタンを押すことを考えた。
でもその日の私には、7の数字を押す勇気はなかった。
そわそわとエレベーターの中で立ち往生しているうちに、社員らしき人が乗り込んできたので、慌てて8のボタンを押した。
その人は私がエレベーターを止めてくれていたと思ったらしく、ありがとうね、と言っていた。
117Res/151.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20