25: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:44:07.64 ID:k2me14jR0
「……あれ。プロデューサー、指輪は?」
あくまで平静を装い、聞いてみる。
「ん。あー、ああ。……あれか。あれな。えー、っと失くしちゃって」
どこか歯切れ悪く答える彼に、違和感を覚えずにいられない。
「失くした? えっ、大事なものだよね」
「んー。そうなんだけど、ほら、春の終わりくらいに仕事で海、行ったでしょ。あれ、そのまま忘れてきちゃってたみたいで」
「取りに戻らなかったの?」
「気付いてその日の内に戻ったよ。でも、なくてな。まぁいっか、って」
「え……よくないよね。奥さん怒ったでしょ?」
「んんんー。ああ、そうか。よくはないな。よくはないんだけど……。その……あー、でも、凛にならいいか、言っちゃっても。え、いいのかな。まずいか? でも凛とはもうそれなりに長いし……」
失くしたものの話をしていたはずなのに、急に謎の自問自答を始めるプロデューサーだったが、私にはわけがわからない。
そのため、ひたすら頭上にクエスチョンマークを浮かべるほかなかった。
しばらくして、どうやら踏ん切りがついたようで「まぁいいか。……その、これは秘密にして欲しいんだけど」と彼は前置いて、口を開いた。
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