15: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:28:12.14 ID:k2me14jR0
ぐるぐる思考を巡らせていると、彼が「あ」と声を上げた。
何かあったのか、と続く言葉を待っていたところ、彼は人差し指で遠くの砂浜を示す。
誘導に従って指先の延長線上に視線を移すと、そこには未央と卯月が走ってくる姿が見えた。
「じゃあ、ここらで俺は退散しようかな」
「あー、ごめん。気を遣わせて」
「ぜんぜん。寧ろありがとう。楽しかった」
「……まぁ、ホントに楽しそうだったよね。プロデューサー」
「それはもう。……じゃあ、シャワー浴びて着替えたら、俺は撮影のスタッフさんに挨拶して、撤収作業手伝って、そしたら車にいるから。頃合い見て戻っておいで」
「うん。わかった」
「何かあったら大きい声で人を呼ぶこと。俺もなるべく定期的に様子を見に行くようにするし、あの二人の担当さんとか、誰かしらいるはずだから」
「うん」
「危ないところには行かないこと。怪我はしないように。日焼け止めはこまめに塗り直す。それから……」
「全部最初に聞いたよ、それ」
「楽しんで」
「それは聞いてなかったかも」
ひらひらと手を振ってプロデューサーは行ってしまう。
その後ろ姿が小さくなるのを眺めていると、入れ替わりで、ざぶざぶと水しぶきを上げて卯月と未央の二人が私のもとへやってきた。
今日は一日、退屈しなさそうだ。
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