92:名無しNIPPER[sage]
2019/08/09(金) 18:35:46.69 ID:3U6iQqIwO
お嬢様は馬車へと踵を返し、さっさと乗ってしまう。
「……俺達も行こうか」
「あ…はい…」
「男さん、少しお話が」
「え?」
俺はお爺さんに呼び止められ、ジャスミンと顔を見合わせる。先に行くよう促し、俺はお爺さんの元へと移動する。
「どうかしましたか?」
「申し訳ありません。ただ、確認したい事が……」
お爺さんは顎をさすって、俺を見据えてきた。
「……魔王の眼を模した深紅の目…またの名を魔眼の目…」
俺は心臓が飛び出るかと思うくらいに吃驚した。
「何で……」
「この歳になると、見聞を広めるのが唯一の楽しみなのですよ」
お爺さんは馬車へと歩きだし、すれ違い様に俺の肩を叩く。
「くれぐれも力の使い方を間違わぬよう、気を付けて下さい」
そう言い残し、お爺さんは御者席へと戻っていく。あのお爺さん、何者なんだ…?
俺はモヤモヤした気持ちを抑えながら、馬車へと戻った。
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