207:名無しNIPPER[sage]
2019/08/20(火) 14:04:40.91 ID:7jJYpAViO
少年は待ってると言っていたし、俺は少年の隣が空いていたのでそこに座る事にした。人混みを抜けて少年の肩を軽く叩き隣に座る。
「来たよ。それで、待ってるって言ってたけど」
「……これ」
少年は俺の前に金貨1枚と銀銅貨を数枚置いた。
「え……何これ?」
突然差し出された貨幣に俺は困惑する。
「…………報酬」
「報酬…?…………ああ!」
なるほど、オーガを倒すのを手伝ったからか。おいおい何だよ、無愛想な子だと思ったけどしっかりしてんな。でも、これは受け取れないな。俺は貨幣を手の平でスライドさせて少年に押し戻す。
「俺が勝手に手伝っただけだから、これは貰えない」
「…………」
「それに報酬なら、別の物が良いな」
「…………?」
「少年の名前、教えてよ」
何かカッコイイ事言ったんじゃねなんて思っていたら、少年は怪訝そうな顔で見てきた。悲しいなぁ。
「…………エメク」
「お、ありがとう…エメクか。俺は男、宜しくな」
俺はふたたび握手を求めるが、今度は手に取ってはくれなかった。渋々手を引っ込め、俺も近くの給仕に声を掛けてエールを注文する際に少年のドリンクも頼もうとしたが既に何か飲んでいた。
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