80: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/18(日) 15:33:00.13 ID:BON9hvjh0
「“これ以上、俺が重荷になるわけには行かない”……なんて、考えているんでしょ、プロデューサー?」
どくん、と心臓が跳ねた。考えていたことをピタリ、と言い当てられたのだから当然だろうけれども。見やれば、少し不機嫌そうな渋谷さんの顔。
「あのさ、プロデューサー。私がここまでこれたのはプロデューサーがいたからだよ。なのに重荷なんてはず、ないじゃん」
『え、いや』
「そもそも、自己評価がちょっと低すぎるんだよね、プロデューサーは。昔どうだったかは知らないけど、他のプロデューサーからなんて呼ばれてるか知ってる? “俺たちの良いとこ取り野郎”だよ?」
嘘でしょ。なんて大層なあだ名だろうか。初めて知った。渋谷さんも思わずふふ、と笑っている。
『はは……まあ、でも俺は“半人前”だからさ。できる限りのことをやっていかないと、渋谷さんに置いて行かれちゃうって思って』
「向上心があるのは良い事。でも自信も持ってほしいよ。私の、その。自慢のプロデューサーなんだから」
そう言ってから、恥ずかしそうに渋谷さんはそっぽを向いた。何となく、俺も恥ずかしくなる。そんな風に思ってくれているなんて、ちょっと思いがけなかったから。これも夢なのだろうか。頬をつねる。痛かった。
俺の様子を見て、渋谷さんは笑う。
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