7: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/01(木) 23:15:21.85 ID:FCK0uUJh0
『……“アイドル”だよなあ。やっぱり』
こんな動画よりもずっとずっと、俺の脳裏には彼女の姿も声も鮮明に残っている。とても綺麗だった。もちろん容姿という意味でもある。そして心地の良い声の持ち主だった。だから惹かれたのだとは思う。
けれどもそれが本質ではなくて、彼女にはどうしようもなく抗えないまぶしさ、説明のできない魅力があった。俺が決して持ち合わせることのないそれ故に、彼女は紛れもなく偶像《アイドル》なのだと思った。
そうとも、彼女が俺にこの世界を教えてくれた。これが“夢を売る”ということなら、世にアイドルファンがこれほどいる理由もわかるというものだ。
あれ以来、この彼女が俺にとっての“アイドル”の基準になっている。それは簡潔に言えば、感動というもの。だから俺はアイドルのプロデューサーになりたい、なんていう先の見えない道を選んだ。
“アイドル”を生み出せる人になりたい。純粋な憧れ、そして目標。そう言った一種の終着点として、夢を見てしまった。
馬鹿なことだとは承知していた。けど、夢だから。俺は顧客の夢も、俺の夢も満たせる“アイドル”のプロデューサーになりたかったのだから。
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