5: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/01(木) 23:13:48.95 ID:FCK0uUJh0
「我々が売るべきものは顧客の夢だ。君の夢ではない」
……結局芸能プロダクションへの就職活動は二十連敗を超えたあたりで数えるのをやめた。だから別の道を探すことにした。だったら俺がプロダクションを作ればいいんだ、と。
限りなく名案だと思った。別に大きなプロダクションである必要はない。俺と、アイドル一人だけのプロダクション。そんなちっぽけなものでも俺の夢は果たせるはずだって。
だから街中で見かけたこれは、と思う女性に声もかけた。……初めて声をかけた女性の言葉は、昨日のように思い出せる。
「……頭、おかしいんじゃないですか? 無理ですよ、そんなもの」
当然の回答だった。人脈もコネクションもない。後ろ盾や資金があるわけでもない。実績もなければ手腕があるわけでもない。ないない尽くしの男についていく奴はいない。わかっていたことのはずだ。
結論として、それは的を射ていた。それから二年間、俺は誰も彼もに振られ続けている。
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