43: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:32:57.92 ID:p4U+w2zG0
『あっ』
「……ねぇ、なんでいるの?」
駅に向かって歩こうと振り返った刹那。そこにはスクールバッグを持った、制服姿の彼女がいた。遅かった、なんて考えつつその表情を見る。怒っているような、疑うような、そんな顔だ。
昨日のあの一件以降、口調もかなりキツいものになってしまっている。いや悪いのは俺なんだけど。ものすごく気まずい。
『あー、えっと、その。なんていうか、あの……』
しどろもどろになりながら周囲を見る。そして苦し紛れに、
『……花! 花を買いに来たんです! えっとこの……青紫色の花をください!』
店先に陳列されていた花を見ながら、そう言い訳をした。いそいそと財布を取り出そうとする俺にじろり、という音がしそうな視線を向けた彼女は、しばらくびくびくとしていた俺に向けて静かにため息をついて、
「はぁぁ……。972円です。包装は要りますか」
あきれ返ったような声で言いながら店先の花を丁寧にとって、店内へと入っていく。そしてスクールバッグをカウンターの裏において、手慣れた様子で透明なビニルフィルムで巻いて根元にリボンを括る。
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