23:名無しNIPPER[sage]
2019/08/08(木) 18:58:07.48 ID:caute9RW0
『……消せねえ。消せねえよ』
俺はまた嘆息した。もちろん、この画像を使ってどうのこうのなんてするつもりは全くない。そんな気持ちは微塵もないのだ。
それでも名状しがたい罪悪感が存在する。そしてその罪悪感があってなお、消したくないという俺の身勝手が俺の自己嫌悪を加速させる。いっそのこと、ケータイを見つけてくれたのが彼女でなければ。そんな失礼な事さえ思い、さらに自己嫌悪。
本当、最悪だ。そう思って目を閉じた。……浮かぶのはあの少女の姿。
(まるで一目ぼれじゃないか)
目を閉じたまま俺は自嘲した。もちろん恋愛的な意味での一目ぼれじゃない。が、広義の意味での一目ぼれにはきっと含まれるのだろうね。
まだ高校生なのだろうに凛とした表情や大人びた雰囲気。ティーンエイジャーの少女から微かに滲み出す芯の強さとひたむきさは、まさに見る者を魅せる力を持っている。
それだけではない。すらりと伸びたスレンダーな手足に、しなやかに揺れる黒い髪。僅かに茶色がかっているが故に正統派な黒髪のロングヘアではないが、誓って良い意味で、清楚や古風ではない彼女にとっては減点要素にならない。
彼女が逸材でないはずがない。そんな確信めいた感情は、一分一秒ごとに募っていく。
ああ、もう一度、逢いたい。熱病のように、俺の頭と心はそんな思いが澱のようにたまっていく。
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