人攫い「つまり、俺はお前を買い戻したのさ」奴隷「どうして、ですか……?」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/30(火) 23:51:37.21 ID:ZX8U6ErMO
「俺の娘は身体が弱くて、薬が必要だった」

その薬を買う為に、お金が必要だったこと。
それは普通の仕事で賄える金額ではなくて。
故にご主人様は人攫いに手を出したらしく。

「俺は何ひとつとして後悔はしてない」

娘の為に父として出来得る限りのことをしたと、ご主人様はきっぱりとそう仰いました。

「だけど少し前に、愛する娘が死んだ」

薬によって延命は出来たものの。
結局、娘さんは助からず、亡くなったらしく。
それを機に、人攫いから足を洗ったとのこと。

「足を洗う際、妻に裏稼業のことがバレて別れを告げられた。そうして俺は、独りになった」

淡々と事の次第を語りながら蝋燭を見つめるご主人様の横顔は、泣いておられました。

「寂しくてなぁ……虚しくてなぁ」

声を詰まらせながら、ご主人様はあの日、私を買った日のことについて、言及なされました。

「そこでふと、売り払った奴隷のことが頭によぎって、奴隷市場へと足を運び、そしてお前を買い戻したんだよ」
「どうして、ですか……?」
「罪滅ぼし、なんかじゃなかった。俺はただ、独りが寂しくて、お前のことを買ったんだ」

元人攫いのご主人様は、悪びれませんでした。
その言い草は、まるで私の怒りを促すようで。
けれども、微塵も怒りなど覚えませんでした。


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