未来「翼と入れ替わってたときの話」【ミリマス 】
↓ 1- 覧 板 20
1:名無しNIPPER[saga]
2019/07/30(火) 00:02:12.31 ID:UbedML5p0
テスト
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:06:02.11 ID:UbedML5p0
「もういいよ春日さん、休憩してて」
トレーナーさんにちょっと冷たくそう言われ、レッスン場の端の壁までトボトボと歩いて、うつむくようにして小さく体育座りをした。もう少しちゃんと練習しておくべきだったんだ。いや、ちゃんと練習してもできたかどうかは分からない。あのステップのトコは本当に難しいから。気分を晴らそうと汗を拭こう思ったけどタオルを忘れたことに気づく。だけれども探すのもめんどくさく感じて、ボーっとみんなのレッスンを眺めることにした。
休憩する私の代わりにダンスレッスンに入ったのは、翼。トレーナーさんの手拍子に合わせて踊っていく。それにしても上手い。私が難しいなって思っている部分をあっさりとクリアしていく。……ダメだ、翼を見てると余計に落ち込む。
3: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:07:01.72 ID:UbedML5p0
「おつかれ、未来。レッスン終わったよー。帰ろ?」
むぅ、人の気も知らないで……。でもそれで意地を張るのも悔しかったので何もないように振舞った。
「そうだね。帰ろっか」
4: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:07:41.54 ID:UbedML5p0
「どうしたの未来、わたしの顔をじっと見て?」
ありゃ、翼に気づかれちゃった。私はそれをごまかすようにして言った。
「ち、ちがうよ。向こうの占い屋さんの方をみてたんだ」
5: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:08:56.53 ID:UbedML5p0
◆
「こんばんは!占ってくださーい」
「ちょ、ちょっと翼ってば」
6: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:09:48.38 ID:UbedML5p0
「そうだね。やってもらおっか。何について占ってもらおうかな」
「はーい。わたしはモテモテになりたいでーす!」
「また翼はそんなこと言うんだから」
7: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:10:37.52 ID:UbedML5p0
「ズバリ! 未来ちゃんは悩みがあるのですね? 悩みというより願い事?」
「え、どうして分かったんですか?」
「水晶に書いてあるのです!」
8: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:11:20.46 ID:UbedML5p0
「ほ? これはどちらも需要があるみたいなのですね。未来ちゃんと翼ちゃんが入れ替わったら、ウィンウィン! なのです!」
「はいそうでーす!」
「私も翼になりたい!」
9: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:12:10.11 ID:UbedML5p0
「ほ? これはどちらも需要があるみたいなのですね。未来ちゃんと翼ちゃんが入れ替わったら、ウィンウィン! なのです!」
「はいそうでーす!」
「私も翼になりたい!」
10: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:13:07.49 ID:UbedML5p0
◆
ジリリリリ……
聞きなれない目覚ましに起こされる。目覚ましを止めたのはいいものの、ここがどこか分からなかった。昨日はちゃんと自分の部屋で寝たはずだけど……。ん? このファンシーな感じ、甘いにおい、私知ってる。翼の部屋だ!
11: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:14:55.89 ID:UbedML5p0
翼の家から駅まで少し迷ったけどなんとかレッスンが始まるまでに事務所に着くことができた。そんな様子を見てプロデューサーさんが声を掛けてくる。
「こら、翼! ギリギリじゃなくてもっと余裕をもって出社しとけ」
え、翼なんてどこにもいないけど?
12: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:16:21.20 ID:UbedML5p0
そのとき、私の中でイタズラ心が沸いた。今の私は翼なんだ。だったら……。
「道で困ってたおばあちゃんを助けてたら、遅くなっちゃいました〜」
「そんな言い訳は通用しない」
13: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:17:53.45 ID:UbedML5p0
そんなとき、先に事務所に来ていたある人物に話かけられた。
「ねえ未来ってば、わたし、そんなんじゃないと思うんだけど……」
「ひゃあ!? わ、私?」
14: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:18:48.07 ID:UbedML5p0
「なんというか、無事でよかったよ」
「未来こそ。私の姿で変なことしなかった?」
「翼のお母さんに春日未来です! って名乗ったら変な顔されたくらい」
15: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:19:44.71 ID:UbedML5p0
「どうしたんだ、未来、翼。お互いを逆に呼び合って」
わわっプロデューサーさんに疑われちゃった。どうしよ、このことを相談した方がいいのかなぁ。たしかバレたらダメ! みたいなこと占い師さんも言ってなかったし。
「ねえ、未来」
16: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:21:02.99 ID:UbedML5p0
「でへへ〜、なんでもありませんプロデューサーさん。いっぱい、い〜っぱいレッスン頑張ろうねって翼と話してたんです。あっこんなところにスイッチがある。ポチっとな」
……私はそんなにバカみたいかな?
「なんだいつもの未来か」
17: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:22:30.44 ID:UbedML5p0
さて今日のお仕事はラジオの収録だ。私と静香ちゃんがやってるラジオなんだけど、なんとたまたま翼がゲストの回だった。私も参加できるからまぁ良いんだけど……。
「ねえやっぱりバレちゃわない? 静香ちゃんだっているし」
「だいじょうぶ、だいじょーぶ。静香ちゃんもダマしてみせるよ」
18: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:23:48.07 ID:UbedML5p0
◆
ラジオのOP曲が流れてくる。それを合図に私はしゃべり始める。
「みなさん、こんにちは! パーソナリティの春日未来です。いやぁ最近……」
19: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:24:54.23 ID:UbedML5p0
さて冒頭こそ危なかったものの、振られたとき以外黙っておく作戦でラジオは割と順調に進んだ。
「それではお便りのコーナーいくわね。ラジオネーム〇〇さんから、この前のライブ最高でした! 特に翼ちゃんが可愛かったです! とのことで」
静香ちゃんがお便りを読み終わると、うれしかったのか翼が反応しちゃった。
20: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:26:11.43 ID:UbedML5p0
◆
午後からはレッスンだ。ダンスレッスンの先生はちょっと怖い人だけど、今日は安心安心。だって私は翼なんだから。
最初は私の姿の翼がダンスをした。自分が踊る姿を見るなんて不思議な気分だったけど、改めて思った。変な気ごちない動きだなあって。
21: ◆z80pHM8khRJd[saga]
2019/07/30(火) 00:26:50.54 ID:UbedML5p0
今の自分ならなんでも手に入る。たいして努力もしないで。これが翼が見ている世界なんだ。私はブルっと震えた。前に静香ちゃんが言ってた武者震いの意味がこのとき初めて分かった。
私のダンスが終わり、見学してた翼に声を掛ける。
「でへへ〜やっぱり翼ってすごいね! ダンスバッチリだったよ」
40Res/29.72 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20