嫉妬深い強欲デブでスケベで怒りに燃える怠け者の男「俺こそが唯一絶対の存在だ」
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7: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/07/29(月) 23:43:19.53 ID:8MZ+TPk10


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 その男は、色欲に溺れた。

 男は、年をいくら経ようと劣ることのない猛きリビドーを持て余していた。だが、どうして、ふくよかで、怠惰で、手癖の悪い墓守に女が寄ってこようか。男には、彼女などできようはずもなかった。しかし、男は自身に原因があるとは微塵も考えなかった。必然、男の性処理はアダルトビデオによって為されることとなる。仕事終わりにDVDのレンタルショップへと通うことが男の日課となっていた。

 男の通うDVDレンタルショップは、全国チェーンの割に品ぞろえの悪い店であったが、男はそこを気に入っていた。男の住むアパートから近かったということもあるが、それだけが理由ではない。その店は、男にとって思い出の店でもあったのだ。男が子供のころ、その店はビデオのレンタルショップで全国チェーンでもなかった。店の一角には、当時はやっていたストリートファイター2の筐体がおかれ、男は毎日のように通いどこのだれとも知らぬ少年たちの対戦を横目に眺めていた。

 いつしか、店の主とともに内装も明るくきれいな物へと変えられ、ゲームコーナーも撤去された。しかし、変わったといっても元の建屋をそのまま利用しているためか、ふと気づくと以前のかび臭い佇まいが思い起こされるのだ。全国チェーン店となって、棚の配置が変えられたとしても、それは同じだった。店の入り口の位置はもちろん、店の北側にあるトイレ、フロアの中央に立つ明らかに邪魔な柱、その柱が死角となることを防ぐための防犯カメラ、そしていつの時代も店の最奥に設えられたアダルトコーナー。何が起ころうと、何十年経とうと変わらないその店の持つ安心感が、男を優しく包み込むのだ。


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