嫉妬深い強欲デブでスケベで怒りに燃える怠け者の男「俺こそが唯一絶対の存在だ」
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11: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/07/29(月) 23:45:10.76 ID:8MZ+TPk10
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 その男は、怒りに燃えていた。

 世界は、その男一人を残して滅んでしまった。どういうわけだか、その男にだけ「眠り病」の救いは訪れなかったのだ。幸いなことに、急激な人口減少のせいもあり、ソーラーパーネルによって半永久的に稼働し続ける政府の冷凍庫にはありとあらゆる物資が、今なお大量に残っており、生きていくうえで男が困ることはなかった。しかし、男は世界でたった一人の生き残りとして余生を過ごすことになってしまった。

 男は、自分にだけ救いを与えてくれなかった病原菌に強い憤りを感じた。しかし、世界が滅んだ今、その怒りの矛先を向ける相手が見つからなかった。手近なものに、それは道路標識であったり、郵便ポストといった、いまや世界において何の意味もなさなくなった無機物に対して当たり散らしてみるものも、残るのは虚しさと、赤く腫れあがた拳ぐらいなものであった。

 カラオケだ。男は、ある日唐突に思いついた。かつて世界が繁栄を極めていた時代、男はたまったストレスをカラオケで発散するのが好きだった。誰に気兼ねもなく、のどを痛めることを恐れず、ビールとから揚げとポテトを片手に、懐かしのアニメソングや、最新のロックンロールをあらんかぎりの声で歌いあげるのだ。世界が滅びようと、ビールも、から揚げもポテトだって手に入る。ならば、カラオケボックスに向かうしかないではないか。


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