魔物使い「汚らしい! ボクに触れるなっ!」竜の子「汚らしいのは、お前だっ!!」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/27(土) 22:06:06.99 ID:jtQcW+hGO
「しかし、視界が悪いですねぇ」

魔女の戦いに目を凝らすも、雷雨によって見通しのきかない状況で敵影の視認は困難だった。
しかし人間よりも眼が良い竜の子は気づいた。

「あれは、まさか……竜?」
「若様、それは本当ですか?」
「うん。間違いない。竜と戦ってる!」

同族の気配を感じた竜の子は確信をもって頷き、それを受けて、生贄娘は奥歯を軋ませた。

「よもや、敵がお父君と同じ……ドラゴンとは」
「ううん。違う……そうじゃない」
「若様? それは一体、どういう意味ですか?」

きっぱりと否定されて困惑する生贄娘に、竜の子は青い顔をして、震える声で正体を告げた。

「あれは僕と同じ……混ざり者の、竜の子だ」

衝撃の真実に生贄娘が絶句し、言葉を紡げずに閉口すると、魔女の悲痛な叫びが山頂に響く。

「……やめて! あなたとは、戦いたくない!」

自らに襲いかかる竜の子に対して、魔女は喉を枯らしながらも、懸命に呼びかけ続けていた。

「……私は、あの子の、お友達だから!」

対峙する敵と、お友達の竜の子が重なる。
故に魔女は、敵に致命傷を与えられない。
攻撃をいなし、躱して、避け続けていた。
僅かな空白で懸命に呼びかけ、懇願した。

「……お願い! 私の、話を、聞いてっ!」

涙を零しながら訴える、魔女の切実な願いは。

「がああっ!」
「……ぐっ!」

人間と竜の特徴を兼ね備える敵には届かない。


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