魔物使い「汚らしい! ボクに触れるなっ!」竜の子「汚らしいのは、お前だっ!!」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/27(土) 22:03:12.27 ID:jtQcW+hGO
「魔女さんが戦っているのも冒険者なの?」
「わかりません。言葉を濁されましたので」

岩山を登りながらふと浮かんだ疑問を口にする竜の子に生贄娘は正直にわからないと答えた。
姫君は巨悪としか口にしておらず、具体的な素性を教えてはくれなかった。それは、何故か。

「恐らく、都合の悪い存在なのでしょう」
「都合の悪い、存在?」
「ええ。あの姫君にとってか、もしくは……」

首を傾げる竜の子の瞳に不安が浮かぶのを見て、生贄娘はそれ以上の憶測を飲み込んだ。
何もわからない現状、悪戯に不安を煽るようなことを口にすることは、何の意味もなかった。
ただ今は、魔女を救うという目的のみを見据えて、竜の子の手を引き、急ぎ山頂を目指した。

「……魔女さんが、戦ってる」
「ええ、そのようですね」

山頂に近づくにつれ天候が悪化し、雷雨と暴風が吹き荒れ始めた。時折、紫電が迸っている。

「魔女がこれほど力を行使しているとなると、巨悪とやらは、余程の相手のようですねぇ」
「強いってこと?」
「恐らくは」
「父上よりも?」
「あのお方より強い存在は、想像出来ません」

竜の子の父は永きを生きた偉大な竜王である。
恐らく、魔女の雷雨や暴風などは、まるでそよ風のように受け流して、全く効かないだろう。
そんな竜王と比較するあまり、失念していた。

その偉大な竜王を、今や文字通り尻に敷く人間の妻のかつての生業とは、なんだったのかを。


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