8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/22(月) 23:45:29.80 ID:lIL3ZnEMO
「んんっ……」
船酔いで体調が優れない竜の子は船室に戻った後、すぐに眠り、気がついたらもう夜だった。
「んっ……若しゃまぁ」
傍らから生贄娘の声がして見やると、彼女は自分ベッドではなく竜の子の隣で寝ていた。
いつもは綺麗に整えられた亜麻色のサラサラの髪の毛がところどころ飛び跳ねており、魔女との戦いの凄まじさを物語っている。
「私は……切れ痔では、ありまひぇん」
そんなあられもない寝言を口にする生贄娘の頭を同じく寝ぼけた竜の子がポンポン撫でると、大人しくスヤスヤ静かに寝息を立て始めた。
「……おトイレ」
何度も失敗している竜の子は学習した。
まだ平気は要注意。まずおねしょする。
だからふらふらと独りで甲板へ向かう。
「……若?」
深夜の甲板には魔女が独り、佇んでいた。
しかし、寝ぼけている竜の子は気づかない。
そのままよちよちと、船べりに向かって。
「……若、危ないよ?」
落っこちる寸前で、魔女に抱きとめられた。
「ううっ……おしっこ」
「……おしっこが、したいの?」
「うん……おねしょすると、嗤われるから」
まだまだ幼い子供の寝ぼけた言動に頬を緩めた魔女は、竜の子のトイレを手伝うことにした。
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