7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/22(月) 23:43:33.64 ID:lIL3ZnEMO
「とにかく、ふたりともやめて!」
「だって若様、この腹黒魔女が!」
「……このショタコンが全部悪い」
竜の子の教育に悪影響を及ぼさないよう、いつ何時でも丁寧な口調を心がける生贄娘がまるで年相応の村娘のように言葉を乱すその様を見て、案外この2人は相性が良いのかもと思った。
「とりあえず、仲直りして」
「いくら若様の頼みとはいえ、出来ません」
「……舌を噛み切ったほうが、マシ」
ぷいっと互いにそっぽを向く2人に竜の子はなんかもう面倒臭くなりつつも、頑張って諭した。
「生贄娘」
「はい、なんですか?」
「僕の命令が聞けないの?」
竜の子は竜王の子息。
生贄娘は竜王の生贄として捧げられた身。
命令に背くことは生贄の矜持が許さない。
そして何より、僅かでも偉大な父のような威厳を出そうと懸命に眉根を寄せて怖い顔をしようとする竜の子の健気さと可愛らしさに負けて。
「ちぇっ……若様に免じて、許してあげます」
そんな、どこにでもいる村娘のような悪態を吐きながらも、仕方なく生贄娘が嫌々ながらも握手のひとつでもして、それで手打ちにしようとしたのだが、魔女はその手を払い除けた。
「なっ!?」
「……ショタコンが移る」
「じょ、上等です! 切れ痔にしてやります!」
再び勃発した第二次女同士の醜い諍いに今度こそ仲裁を諦めた竜の子は、静かにその場から離れて、独り船室へと戻ったのだった。
13Res/16.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20