竜の子「まるで、生命の輝きみたいだ」生贄娘「なかなか、言い得て妙ですね」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/21(日) 22:44:33.59 ID:kW3uxFR3O
「ううっ……こんなの、あんまりだ」
「ああ、若様……おいたわしや」

竜の子の汚れたお尻を、恭しく拭いながら。
シクシク涙を流す、竜の子を慰める生贄娘。
お尻を拭うその手つきには愛がこもっている。
その愛をお尻で感じながら、竜の子は改めて、人間とは恐ろしい生き物だと、理解を深めた。

「はい、綺麗になりましたよ」
「……ありがと」
「ちゅっ」
「うひぃっ!?」

拭き仕上げとばかりに尻に接吻をされ思わず奇声をあげる竜の子を気にも留めず、凶行を重ね続ける生贄娘は平然と疑問を投げかけてきた。

「ところで、若様」
「今度はなにさ!」
「若様はおうちに帰りたくないのですか?」

思いも寄らぬ質問をされて、竜の子は鼻白む。
しばし考え、考えるまでもないと結論つける。
こちらを伺う生贄娘の目を見据えて、答えた。

「もう少し、生贄娘と旅を続けたい」
「理由を伺ってもよろしいですか?」
「好きだから」

わかっている癖にと、つくづく思う。
わかっているのに言わせるな、とも。
しかし、わかっていても、嬉しいらしく。

「若様に出会えて良かったです」
「僕も……そう思う」
「おかげで、生贄になれた私は今、幸せです」

生贄娘は今、幸せらしい。
生贄となって、初めは絶望しただろう。
村を襲ったドラゴンを恐れ、夜も眠れずに。
自分を犠牲にした村を、恨んだかもしれない。

それでも今が幸せならばそれで良いと思えた。

「さて、次はどこへ行きましょうか?」
「あの海の向こう側へと行ってみたい」

水平線の彼方に更なる幸せを求め、旅は続く。


【生贄娘と竜の子の旅路】


FIN


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