禁書目録『短編集』 暇つぶしに書く。
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46:1[saga]
2024/12/10(火) 23:42:51.32 ID:QhNtHy/Q0
 あれから数日が経って今、何回目かのデート中...って名目のランニングに付き合ってもらってる。

 ボクサーを止めたってのに未練がましいと思うが...どうしても体を動かさないとやってられないからな。

 後ろを振り向けば、まだ公園を3周半の2kmしか走ってもないのにヘロヘロのウニ頭が見える。

 ...これは記憶を失う前からこうだったから文句を言う気にはならない、が...
 
 上条「ちょ...ちょっと...あ、彩鈴さ、ん...も、死ぬ...」

 北条「馬鹿言うな。前のお前はこれぐらいケロッと付いて来てたんだぞ」

 上条「マ、マジかよ...じゃあ、なんで、今の俺はこんな、疲れるんだよ...」

 走り方が下手だとか適当な理由を伝えて先導するようにまた走り始める。後ろから乾いた悲鳴が聞こえてるが無視だ。

 私は真夏の日差しを浴びながら、二度目の告白をしたあの日以降の事を思い返す。

 まず最初に...一度だけ挨拶をした事のある両親に現状を伝えた。いくらインデックスって子を心配させたくないとは言え...
 
 自分の親にまで秘密にするのは親不孝極まりない。その時反対していた当麻にそう言ってやると、何も言い返せず黙ってたな。
 
 最初の内は私と他愛ない話をしていた両親だったが...当然、悲しんでいた。特に詩菜は取り乱すくらいに...

 だけど...私の方がもっと辛かっただろうと、逆に刀夜さんから慰められたな。後から詩菜さんにも...

 今まで通りでなくてもいいから息子を頼む。そう言われたからには...見捨てるなんて事はしない。
 
 それから担任の月詠先生にも、せっかく少しは良くなった成績がまた悪くなるのというのを踏まえて伝えた。

 会った事がないから姿はわからないが、タバコを吸って溜息をついてるのは何となくわかったな。

 月詠先生の次は、隣人のクラスメイトでシスコン軍曹と呼ばれてる土御門元春だ。

 ...ただ、そいつはやっぱりかにゃー、とふざけたような返事をしてきた。どういう事なのかネックレスを掴みながら問い詰めると...

 態度が余所余所しかったから、と答えてそれ以外にはないと言った。

 それで私は確信した、こいつは当麻の記憶をなくした原因を知ってるんだと。

 今は泳がせておくのがいいと思って、その時は見逃してやったが...絶対に吐かせてやる。
 
 ...いつの間にかフラフラと千鳥足になってる当麻が前に居た。1周して追い付いたみたいだな。
 
 上条「ぜぇ...ぜぇ...」

 北条「...そろそろ休憩するか。公園のベンチに行くぞ」

 当麻はそれに答える余裕もない様子だった。流石に走らせ過ぎたか...


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