有栖川夏葉「とっておきの唄」
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4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/07/20(土) 23:44:50.97 ID:+a76L7SS0

おそらく最後の確認なのだろう。

モニターを注視している彼の姿をぼんやりと見るともなく眺める。

しばらく観察するうちに、資料の確認が一頁終わるごとに渡したタンブラーに口を付けるという、一定の法則が見つかってきて、なんだか楽しくなってきた。

そんな矢先、彼が「よし」と声を上げた。

「終わったの?」

「ああ。丁度な」

「ねえ、資料が一枚確認し終わるたびにコーヒー、飲んでいたでしょう?」

「よく観察してるなぁ」

「当たりね?」

「うん。夏葉の観察眼はすごい。流石、ユニットメンバーの子らのトレーニングメニューを管理したり、ライブのための計画を立てたりしてるだけあるな」

「あら。私の観察眼って案外限定的なのよ?」

「というと?」

「私、興味のないものはそんなに深く観察しないもの」

「…………さっきの仕返し?」

「ふふ。さぁ、どうかしら。……でも案外照れ顔を見るのも悪くないってわかったわ」

「そのにやにや顔でこっちを見るの、今すぐやめてくれ」

なんていう他愛もないばかなやりとりのあとで、どちらともなく「帰ろうか」となり、帰り支度に勤しむ。

私は借りていたパソコンの電源を切るのと、洗い物だ。

使用したマグカップやらコーヒーデカンタやらを洗うべく、再び給湯室へとやってくる。



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