ドラゴン「貴様は肉を食わないのだな」魔物使い「ベジタリアンなものでして」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/16(火) 22:05:05.30 ID:otgDpFYUO
「焼けたぞ」
「焼けましたね」
「美味そうだろう?」
「全然、美味しそうじゃありません」

じゅうじゅうと溢れんばかりの肉汁が滴り。
香ばしい良い匂いが、洞窟内に立ち込めた。
すると、人間の痩せた腹の虫が鳴り響いた。

ぐぅ〜。

「ッ……!?」
「身体は正直だな」
「……意地悪、しないでください」
「意地悪などする気はない。存分に食え」

促すと、人間は四つん這いの姿勢となり、まるで魔物のように、魔物の肉にかぶりついた。

「はぐっ! はぐっ!」
「美味いか?」

ドラゴンが尋ねると人間は肉から口を離し、しばらく逡巡してから、こっくりと、頷いた。

「お……美味しい、です」
「ならば、もっと食え」
「はぐっ! う、ううっ……お、美味しいよぉ」
「泣いてもよい。それでも食え。食い続けろ」
「うわあああん! 美味しい! 美味しいよぉ!」

食べながら、人間はわんわん泣きじゃくった。
それでも、ガツガツと肉を頬張る、その姿を。
生きようとする姿をドラゴンは美しいと思う。

「……ご馳走、さまでした」
「もうよいのか?」
「はい。もうお腹いっぱいです」
「まだガリガリではないか」
「そんなすぐには太りませんよ!」

人間の食事はすぐに済んだ。
元々少食だったのか、それとも長らく飢えていたせいで胃が縮んでしまったのかは定かではないが、これ以上は食べられないらしい。
なので、残った肉はドラゴンが全て平らげた。


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