【モバマス】 木村夏樹「道とん堀には人生がある」
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37:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/15(月) 05:08:57.34 ID:VQj+6fZHO
「あー食った食った!」
「満腹で寝るなよ、プロデューサーさん」
「大丈夫だ、任せとけ」
宴は刹那的に。無慈悲にも告げられる終了の合図。
夢は覚め、現実に舞い戻った二人。食べ放題のラストオーダー、デザートをもって締めくくり、店を出た。
そうしてまた車は走る――彼らの帰る場所へ。
高速道路。単調な景色がただぼんやりと過ぎ去っていく……。
「いやー、道とん堀行ったの久しぶりだな」
「アタシも」
「あそこ、一品一品は何気に高いからさ、休日の部活終わりに何人かで金出し合ってよく行ったわ」
「分かる。一人だとどうしてもかかっちゃうけど、複数で行くとちょうどいいんだよなぁー」
「懐かしいわぁ……」
「……そうだなー」
色々あったが、まるでそんなことはなかったかのように、夏樹はハンドルを握るプロデューサーの横顔を見つめる。
「夏樹、眠いか?」
「いや、別に大丈夫だけど?」
「色々あったもんな。俺に構わず寝てもいいぞ?」
「まあ、眠くなったらそうさせてもらうよ」
そういうふとした優しさって、ほんとズルい――夏樹はそう思ったが、早くなる鼓動を悟られないように冷静を装う。
彼の言う通り、確かに眠気がジワジワと滲んでいた彼女であったが、プロデューサーの横顔と、そして柔らかな声に平静をかき乱され、眠気は飛び目は冴えてしまうのだった。
「なんか、不思議な感じだ」
「……?」
車の走行音が響く、心地よい静寂の中。
その時間の音色に合わせるように、夏樹はゆっくりと話し出す。
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