【モバマス】 木村夏樹「道とん堀には人生がある」
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26:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/15(月) 04:21:21.29 ID:VQj+6fZHO
「……こんな街、『死んだ街』だと思ってたよ」
「Jesus of suburbiaか?」
「ああ。思えばそれもあんたが教えてくれた曲だったね」
「……死んだ街、死んだような奴らが蔓延る街」
「道路の外にぽつんとあるような寂れた街」
「標識はデタラメでどこにも辿り着けない」
「クソったれの街、そこにいるガキどもはみんな行き場もなく、だけど誰一人そんなことは気にしない」
「――だけど、そんな街でもお前のホームだ」
「そうさ。どいつもこいつもクソったれだと思ってた。アタシらのバンドを勝手に抜け出して人気バンドに移っていった奴が言ったんだ、『バンド辞めて人が変わったみたい』ってさ」
「――生きていたって息ができなきゃ死んでいるのと同じ」
「だからアタシは逃げ出した。謝るつもりなんてないよ」
「……クソったれってやつだ」
「ああ、何もかも『クソったれ』さ!」
歌詞のフレーズも用いて想いをのせる。
世界に捨て台詞を吐いた夏樹は、プロデューサーは、やがて互いに笑い合った。
やがて笑い疲れて、彼女は隣の男にもたれかかる。
「逃げてもいいさ。いくらだって逃げろ」
「……」
「だけど、自分の人生からは逃げるなよ――夏樹」
「……ああ」
プロデューサーの肩に頭を預けながら、夏樹はただ一言で応答する。
今までとは違い、その一言には確かな強さが窺えた。
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