【モバマス】 木村夏樹「道とん堀には人生がある」
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21:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/15(月) 03:45:45.97 ID:VQj+6fZHO


「――それでは、乾杯!」


 あっという間に時間は流れ、畳の大広間で宴会が催される。
 隣の二階建てに住んでいるらしい長男夫婦とその子供、両親と祖母が加わってささやかな宴会が開かれた。


 どこか手持ち無沙汰なプロデューサーであったが、その気まずさを拭い去るように手元のビールを煽った。
 そうすると隣に座る長男、夏樹の兄や父が続けざまにビールをお酌する。


 次第に互いの緊張は解れ、会話に花が咲く……。
 話題はプロデューサーという職業のこと、アイドルや芸能界、そして夏樹の活躍についてで、彼女の名前が要所要所で挙がる度に、家族は皆どこか誇らしげな表情であった。
 対する夏樹は、長テーブルの端でどこか気恥ずかしいように俯いていたが、そんな彼女もまたどこか嬉しそうな色を覗かせている。


(本当に、折り合いが悪いのか?)


 ほろ酔いの中、プロデューサーは端っこの夏樹を横目で見て、そんな風に考えた。


(確かに、どこか気まずそうではある。しかし、本当に家族と仲が悪いなら少なくともこの場にいようとしないだろう)


 それでは、一体どうして自分の力を借りてまで夏樹をここへ連れて来させたのか――やがて宴会もお開きとなり、庭で一人タバコをふかしながら、プロデューサーはその答えを探していた。






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