【モバマス】 木村夏樹「道とん堀には人生がある」
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18:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/15(月) 03:21:22.85 ID:VQj+6fZHO


「じゃあ、お休み……」
「まったく……。粋じゃないね、アンタは……」


 テーブルには350ミリリットルの缶ビール。いつの間に調達したのだろうか、つまみも無しに飲み干した跡があった。


「ビール、一つで足りるのかい?」
「疲れたからな、酔いも早い。充分だ」


 まるで安眠剤代わりとでもいうような言い方で答える彼は、すぐさまベッドに入り丸くなる。


「……」


 彼女に背を向け横になるプロデューサー。想定外の来客に、先刻までとは打って変わってなかなか寝付けない。


「……寝たのか?」
「寝た」
「ふふっ、寝てないじゃないか」


 彼の背中越しでクスリと笑う夏樹。
 いつの間に彼女はベッドに腰を下ろしていた。


「プロデューサーさん、『海が見たい』なんてホントは嘘だったんだろ?」
「……」
「なんとなく察したよ」


 目的地は着いてからの〜とは言っても、小さな子供でもなければ騙し通せるわけもない。
 ここは彼女の地元。車のカーナビ情報や、過ぎゆく景色や、標識などのヒントは沢山ある。
 そして――本来彼女が避けたかったとある事柄がこの休日に存在していた。この地元に。


「策士だね、アンタは」
「……」


 プロデューサーとしても、もちろん騙し通せるわけがないことは理解していた。地元に来た時点で全てを察するだろうと、それも想定内だった。
 しかし夏樹を車に乗せることができた時点で、作戦は成功していたのである。


「アタシの負けだよ、プロデューサーさん」






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