【モバマス】 木村夏樹「道とん堀には人生がある」
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17:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/15(月) 03:16:26.66 ID:VQj+6fZHO
「……とりあえず、着いたぞ」
約二時間弱、高速を乗り継いで到着したのは茨城県。
一般道に下り、最終的にたどり着いたのはとあるビジネスホテルだった。
「ここは……」
「個人的に海が見たくなった」
「海なら東京や神奈川にもあるだろ?」
茨城県、それは夏樹の地元である。
何かを察したように、彼女は怪訝な面持ちでプロデューサーの横顔を見つめた。
「お前が生まれ育った場所の景色が見たかった――嫌だったか?」
「いや、別に嫌ではないけどさ……」
「ビジネスホテルですまないが、今夜はここで我慢してくれ」
部屋はとってあると付け加え、プロデューサーは車を降りる。
「……何で別々にしたんだ?」
そして、チェックインを済ませ部屋へ向かう二人。
彼が別々の部屋を確保したことにどこか不満げな夏樹。
「別々にするのは当たり前だろ」
「冗談だよ冗談」
「腹減ってるか?」
「サービスエリアで済ませただろ?」
「近くにコンビニがあるから、まあなんかあったらそこを使うといい。じゃあ、俺はここだから――」
「あ、ちょっと……!」
会話を遮り、プロデューサーは部屋へ入室した。
やがて、夜も深くなる……。
「プロデューサーさん、いるか?」
就寝前、どこか落ち着かない様子の夏樹。シャワーを浴びて心境をリセットしようとしたが、出発前に寮で済ませたことを思い出す。そうして居ても立っても居られない手持ち無沙汰な時間にしびれを切らし、プロデューサーの部屋へ向かったのだった。
「プロデューサーさん?」
ノックするが、反応はない。
施錠はカードキー式となっており、扉を閉めると自動で施錠されるシステムなので、ドアノブを捻っても当然開くことはない。
プロデューサー本人がカードキーをかざさない限り、その扉は開かないのである。
「プロデューサーさん」
「……どうした」
半ば諦めかけながらも、最後に声をかけた夏樹。最後の最後で施錠が解かれる。
扉から顔を覗かせる彼は、どこか寝ぼけたような雰囲気をしていた。
「その、ごめん……。寝てただろ?」
Tシャツとハーフパンツ、寝間着姿のプロデューサー。
「そうだな、寝てた」
「あのさ、中に入れてくれないか?」
「あー……」
キャミソールとショートパンツ姿の夏樹。こちらも同様に寝間着姿だ。長い肢体が大胆にも露出し、それを見た彼は部屋内を振り返ることで視線を逸らす。
「別にいいけど、俺は寝るぞ。運転で疲れてる」
「それでもいいよ。なんか眠れなくてさ……」
数秒の沈黙の後、渋々ながらそれを許可したプロデューサーは彼女を招き入れた。
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