鷺沢文香「本に、命を」
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37: ◆jEbRvHU8C2[sage saga]
2019/07/14(日) 16:10:35.76 ID:UfnhAP/w0
ぐじゅぐじゅする座布団の感触が冷たさを伴い始めました。
…どれほど経ったでしょうか。溢れるほどの熱を感情のままに吐き出して、少し落ち着きを取り戻します。
絶え絶えの息で、笑みを浮かべている。そこまでは自分でもわかっていたのですが、
よもやだらしなくヨダレで襟元を濡らしているとは、このときやっと気付きました。
…こんなだらしのない顔を見られるわけにはいきません。
彼の頭から手を引き剥がしながら口元を拭っていると、
同じく荒い呼気をそのままに彼がスカートから顔を出しました。

べたりぬるりと張り付く水汚れをそのままに。
そうして。
その下に、何か憑物が落ちたかのような晴れ晴れした笑みを携えて。


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