19: ◆jEbRvHU8C2[sage saga]
2019/07/14(日) 16:00:21.74 ID:UfnhAP/w0
…幸いにも、痛む箇所はありません。
しかしながら、何か引っ掛かります。
落下の瞬間、それから全身への衝撃。ケガを負ってなさそうなのは良いのですが、
拭えない違和感に、背中からお尻にかけてむずむずする感覚が走って、…そのとき、ふと気付きました。
お尻から伝わってくる、本とは全くもって異なる感触。
硬くはなく、厚い装丁の本ではなく、かと言って柔らか過ぎず。
ということは、開かれた本のページを押し広げるように座っている状態で、
そうであれば、本を、ページを折り開いてしまっているということで、
…いえ、その割には何やら紙らしからぬ温かさがあります。
などとお尻に神経を集中させていると、そこから声が聴こえてきて、そして。
そのときにやっと、私の眼の前に投げ出された、スーツ姿の下半身が見えました。
わたし、ぷろでゅーさーさんを、したじきに、してしまった。
瞬時にそう理解しました。
崩れた本の山という不安定な足場で、それでも隙間の床を探して、私は大急ぎで立ち上がります。
振り返った先には、崩れた山と、そこに埋もれるプロデューサーさんの姿。両の眼を強く閉じ、
歯を喰いしばって、…その鼻から激しく血を吹き出しながら。
よりによって、よりによって、私は彼の顔を押し潰すように落下してしまったのだと、
その痛ましさが語っていました。
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