鷺沢文香「本に、命を」
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18: ◆jEbRvHU8C2[sage saga]
2019/07/14(日) 15:59:53.21 ID:UfnhAP/w0
…踏み台から、おちる。

こうした瞬間にヒトは走馬灯をみたり知覚映像がスローモーションになるとよく言われますが、
私には何も見えず、ただ、やはりアイドルらしからぬ卑しさを思考に抱いてしまった罰なのでしょうか
と諦観するだけで、だからこそ。

きっと私を助けようと動いたプロデューサーさんの声が下から聴こえて、
このまま甘んじて身を任せれば大きなケガを負ってしまうとやっと気付いて、
しかし、足掻くにはもう遅いほどに私の体は投げ出されていて。

そういえばこの方向には本の山があって、クッション代わりになってくれれば大したケガもなく済んで、
…そうなってしまえば下敷きになった本が傷んでプロデューサーさんに嫌われてしまって、それで、それで。

そこまで走った思考が、どすんと落ちた衝撃に断ち斬られました。

続いて、山を崩しながら倒れ込む感覚と、どさりばさりと音を立てて崩れる本の音。
浮遊感から重力のもとに落とし戻された全身を、ぞわり、びりりと寒気が駆け巡りました。

こうした悪寒は身体に異変がないか調べる反射機能で、
電磁波とその跳ね返りと可視化する魚群探知機のようなものだ、と説明されていた一説を想い出しながら、
改めて反応を脳内で文字に起こしながら整理します。


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