257: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 21:57:36.89 ID:6Fy41Xha0
と、ふいに観覧席の隅にサンダースの連中を見つけた。
ケイも椅子に座って「コングラッチュレーション」と大洗へ拍手を送っている。
「宴会するぞ。準備しておけ」
258: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 21:59:00.69 ID:6Fy41Xha0
「まあともかく、これで一件落着だな」
「お前の予想通りなら、大洗の優勝で我々もループを脱出できるんだろ?」
ケイは反対側に首を傾げて答えた。
259: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:00:18.72 ID:6Fy41Xha0
「……えーっと」
まさか、まさかとは思うが。
260: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:01:37.86 ID:6Fy41Xha0
――この様子は、おそらく間違いないだろう。
またね〜、と手を振るケイを背に、アンツィオのみんなの元へと戻る。
焦燥感に駆られながらも、その中からカルパッチョとペパロニの姿を見つけると、私は口早に話しかけた。
261: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:03:15.59 ID:6Fy41Xha0
ペパロニは何のことやらわからないという様子で片眉をあげる。
こいつはケイが現れた時にいなかったのだから無理もない。
カルパッチョを見ると、彼女の方は顎に手をやり、真剣な表情で思案に耽っていた。
262: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:05:18.91 ID:6Fy41Xha0
私とペパロニが突っ込みを入れると、こほんと一息ついてカルパッチョがまくしたてる。
「ループ脱出の条件は、正史を辿ることですよね」
「私たちは、そのためにループを体験させられてきました」
263: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:06:41.53 ID:6Fy41Xha0
「私たちの記憶が消えていないのは?」
「おそらく個人差があるんだと思います。私たちの記憶が消えるのも、時間の問題でしょう」
264: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:08:10.81 ID:6Fy41Xha0
――記憶が、消える。
孤独に大洗との試合を繰り返した記憶。
265: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:09:35.86 ID:6Fy41Xha0
――――。
――――。
――――。
266: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:10:59.55 ID:6Fy41Xha0
カルパッチョとペパロニへ向かって、まるで独り言のように、私はぽつぽつと言葉を吐き出した。
「まあ、仕方のないことだな」
「そもそもループ現象の方が異常だったんだ。癪ではあるが、これで普通の生活には戻れる」
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