静香千早「「アライブファクター」」 【ミリマス】
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32: ◆0NR3cF8wDM[saga]
2019/06/30(日) 00:46:53.12 ID:+e3phmGi0


 ◇



 ステージの裏にいてさえびりびりと響くような歓声は、まだしばらく収まることはないように思えた。

 冷ややかな熱が身体に残っていた。
 とくんとくん。心臓のリズムが、震える指先にまで伝わってくるようだった。

「静香」

 離れていても通るその声に、静香は振り返った。

「……千早さん」

 こつ、こつ、こつ。
 ゆっくりと、千早が静香へと向かって来る。
 こつ、こつ、こつ。
 静香も、ゆっくりと千早へと歩み寄る。

 静香は、今度はしっかりと千早を見据えることができた。
 競演前、そして競演中の険しさを感じさせない、柔らかな表情だった。

 千早が握手を求める。
 静香は、笑顔でそれに応じた。
 両の手で握り締めた千早の右手は、思いの外小さくて、でも、とても重く感じられた。




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