静香千早「「アライブファクター」」 【ミリマス】
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27: ◆0NR3cF8wDM[saga]
2019/06/30(日) 00:42:55.06 ID:+e3phmGi0

 ……すげぇ。

 誰かの声が漏れた。

 ……なんだ、これ。

 別の誰かが呆然と呟いた。

 そして、それは、会場の総意に近いものだった。




 歌いだしは静香。
 第一声、否、第一音から、観客を圧倒する力強い歌声だった。
 一部ファンの間で「蒼の系譜」「千早の後継」と囁かれる彼女の実力は、先の『D/Zeal』としての活動も含めようようにして認められたものではあった。
 しかし、今の静香は、その誰の想像をも上回る。



 千早が続く。
 765プロの、日本の歌姫と名高い彼女の歌声は、静香に劣らぬ強さを感じさせる、ファンの期待する声色そのものであった。



 二人の歌声が重なる。
 互いの存在を確かめあうような、あるいは牽制しあうような。
 ちらちらと互いを意識しながら、二つの声を収束させていく。

 静香が歌う。
 千早が歌う。

 二人の歌声が再び重なりあう。




 ……千早ちゃんが……押されてる?

 ぽつり。ふと、誰かが驚愕と共に漏らした。

 殊に、歌という分野において、如月千早は絶対的な存在だった。
 歌唱力に優れたアイドルは数多あれど、一般に、歌姫と称されるのは千早ただ一人。
 その千早が、今、確かに、最上静香という後輩のアイドルの歌声に押されていた。
 信じられない。信じたくない。そう思う観客は一人二人ではなく。
 一方で、千早が、笑みを浮かべたことに気付いた観客も少なくなかった。





 間奏が入る。
 静香と千早の視線が交錯する。
 珍しく……本当に珍しいことに、千早が率先して観客を煽った。
 静香も少し遅れてそれに続く。初披露のはずの曲に、会場は異様な盛り上がりを見せる。
 もっと熱を。
 蒼く冷たい熱を――




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