神谷奈緒「今はまだよくわからないけれど」
1- 20
12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:30:32.19 ID:hRYw497E0

美優さんの話を聞いて、脳裏に一人の男の顔が浮かぶ。

友人との待ち合わせをしていた際に、しつこいほど名刺を持って近付いてきたあの男。

何かあるたびにお節介なくらいあたしに世話を焼いてくるあの男。

あたしが不自由しないように、スケジュールの調整から送り迎えまで、自分だって忙しいのにしてくれるあの男の顔だ。

ああ、そうか。

あたしは、あの男だったからアイドルになったのか。

今更、そんな不思議な納得があった。

そして、胸の内にあった悩みへの自分なりの答えが出た気がした。

「美優さん、あたし、わかったかも」

「……? よくわからないけど、奈緒ちゃんのお力になれたなら良かったです」

「いや、ほんっとーに感謝してる! で、えっと、その、あたし行かねーといけないとこができて」

「ええ、ふふ。私のことは気にせず」

「美優さん、ホントにありがとう! また!」

「はい。また」

転げるようにしてレッスンルームを出る。

猛スピードで帰り支度を終えすぐに更衣室のロッカーの鍵を受付へと返して、レッスンスタジオの玄関を抜けると正面の通りにはプロデューサーさんの車が停まっていた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
16Res/24.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice