神谷奈緒「今はまだよくわからないけれど」
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11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:29:18.47 ID:hRYw497E0

そして、レッスンルームはあたしと美優さんの二人だけとなる。

今こそ質問を投げかける好機と踏んだあたしは、意を決し柔軟中の美優さんに「あの」と声を出した。

「その、ちょっと悩んでることがあって、それで、美優さんに相談したくて……その」

言い澱んでしまうあたしを見て、重大なことと判断してくれたのか、何故か美優さんは正座になってあたしの前に座り直すので、つられてあたしも正座になってしまう。

「私が何か助言をしてあげられるかどうかはお約束できないですが、それでもいいのかしら……?」

「それは、うん。大丈夫……っつーか、どっちかって言うと、美優さんに聞きたいことがあって……」

「私に答えられることなら、なんでも。……奈緒ちゃんの力になれたら良いのですが」

まず、質問を投げる前にあたしの状況を説明しなくては、と今朝プロデューサーさんにしたように順を追って一つ一つ話し、今思っていることをあたしは美優さんに伝えた。

「なるほど…………」

「その、重い話をして申し訳が……」

「いえ。奈緒ちゃんが相談してくれて、嬉しいです。ですが……難しい、問題ですね……」

「……うん。それで、美優さんには聞きたいことがあって」

「今の奈緒ちゃんのためになることを言ってあげられるかはわかりませんが、私に答えられることなら」

「え、っと。美優さんは何でアイドルやろうって思えたのかな、ってのが聞きたくて」

「何で、ですか……?」

「うん。美優さんは普通に大学も出て、会社にも勤めてて、それでもアイドルのスカウトを受けたって聞いたから……その、決め手というか何というか……」

「なるほど……。そう、ですね……。アイドルとなることを決意した理由は、私生活や仕事があまり上手くいっていなくて、どん詰まりにいるような感覚になっていたことなど、挙げればたくさんあるのですが……一番は“この人となら”と思える人に出会えたこと、でしょうか」

「それって、美優さんのプロデューサーさん?」

「はい。きっと、別の人にスカウトされていたら私はまだあの小さな会社で働いていた可能性すらある、と思います。ですから、私がアイドルになろうと思えたのは、あの出会いのおかげ、と言えるのかもしれません。……その、質問への回答としてこれで良かったかしら……?」



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