佳奈多(今更直枝に甘えたいとか言い出せない・・・)
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名無しNIPPER
2019/11/16(土) 00:57:08.63 ID:fpJBKFLt0
裏庭
ベンチ
佳奈多(お弁当はとてもおいしそうな中身だった。見た目の色彩バランスもよく、シャケやウインナーソーセージ、それにエビフライとメインとなる食材も惜しみなく使われており、特にシャケなんかはおっちょこちょいな直枝が一気に食べても問題ないよう小骨を一本一本取り除いたのだ。もちろん栄養も考えてキャベツの千切りや、全体的に味が濃い目なのでもやしも入っている。我ながら完璧なお弁当だ。だからこそ・・・)
佳奈多「・・・一人で2人分だって余裕だわ。ええ、余裕ですとも」
パクッ
・・・・・・・・・・・・
裏庭
理樹(真人との昼ごはんを早めに切り上げ、僕は佳奈多さんを探していた。一昨日、佳奈多さんは僕に『甘えたらその分次の日は厳しく』と言った。だからこそ僕は心を鬼にしてお昼ご飯の誘いを断ったのだ。きっと佳奈多さんも辛かったに違いない。しかし、それは彼女自身が選んだ僕たちのためのルールなのだ。とはいえあのまま放置していくのも我慢できなかったのでこうして探してはいるが・・・)
理樹「ええと・・・多分この辺で食べているんだと思うけど・・・あっ」
理樹(裏庭のベンチに佳奈多さんはいた。どうやら一人で座っているようだが、あれは・・・)
佳奈多「ぐすっ・・・もぐもぐ・・・」
ポロポロ・・・
理樹「!!」
理樹(なんということだ!佳奈多さんは目から涙を少しずつこぼしながら自分の作ったお弁当を食べていた。しかも横には既に完食済みのお弁当箱・・・つまりは僕が食べなかった分も全部一人で食べているのだ)
佳奈多「ううっ・・・おいひい・・・」
モグモグ・・・
理樹(無理やり何かを自分に言い聞かせながら食べるその姿はとても痛々しいものだった。しかし残酷ながら僕が今あそこへ行けば彼女の努力は無駄になるだろう。そう、今は我慢の時。今のは彼女の戦いの時なんだ。頑張れ佳奈多さん。僕はそう物陰の隅で応援することしか出来なかった)
・・・・・・・・・・・
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