【ミリマス】私という撫子の
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32: ◆DbvMVEE3z2[sage saga]
2019/06/16(日) 00:41:55.00 ID:RAUxaTtJ0
「最初に今回の仕事……、着物のモデルの仕事があるって聞いたときに真っ先に頭に浮かんだのがエミリーだった。他の誰でもなくてエミリーだったんだ」
「そう、なんですか……」

 それは知らなかった。尽力してくださっていたことは知っていたけれど、そういう仕掛け人さまの胸の内までは何も知らない。

「松山さん、最初はエミリーをモデルにすることで全然首を縦に振ってくれなくて。金髪の外国人はモデルにしない、着物は日本人が一番似合うの一点張りで」
「それは……。私も、着物が一番似合うのは日本の方だと思っていますので」

 仕掛け人さまの言葉に思わず俯いてしまう。

 それは自分の身をもって嫌というほど痛感している。髪色から骨格から何から何まで、私なんかよりもずっと似合うのは日本の人だ。それは紛れもない事実で松山さんはなにも間違えたことを言っていない。このお仕事が決まったときから不安に思っていたことはそれだった。

 本当に、私で良いのだろうか。
 花の名前も知らない私なのに。
 そんな私が日本の女性の美しさの象徴である着物の手本など。


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