20: ◆DbvMVEE3z2[sage saga]
2019/06/16(日) 00:28:00.30 ID:RAUxaTtJ0
大和撫子という言葉を調べるたびに出てくる「日本人女性」の文字にため息をついた回数は数知れず。学校で日本語を話して「外見がそんな風なのにおかしい」と笑われたことだってある。
日本語が上達しても相変わらず着物は似合わなくて、和服を着るたびに鏡の中で私だけが浮いていた。あの頃から何も変わっていない。
自分の外見を恨んだことがないと言えば嘘になる。雑誌や本で見る大和撫子と呼ばれる人はいつだって濡羽色のつややかな髪だった。
だけど黒髪に染めることは、あの日の私の決意を否定する気がして。それをしてしまうと私は大切な何かを落としてしまいそうで。どうしてもそれだけはできなかった。
だから日本語ばかり話すように努めた。それは私のせめてもの抵抗。この見た目を否定する私に対する私へのせめてもの抵抗。外見が駄目ならと、中身を磨こうとした。
努力が報われるのはそうだと思う。実際あの頃に比べれば私は日本語が上手になっているし日本舞踊だって先生に褒められるようになった。抹茶も自分で美味しいと思えるし一人で着物を着られるようにもなった。
中身はできる限り最大限磨いてきたつもりだった。
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