【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/08/22(木) 00:32:33.16 ID:rmOYl90d0
火を付けていない煙草を一本咥え、唇でプラプラさせながら、タクさんは言葉を探す。
「アレだよ。猫拾うみてぇなモンだ」
「猫?」
「最初はそんな気無かったのに、どんどんでっかくなりやがる。何すっかわかんねーから目も話せねぇし、ああだこうだ世話してくっと色々覚えてきて……」
タクさんは「はっ」と笑った。自らの担当アイドルのことを思い出したか、それともなんだかんだで励んでいる己への自嘲か。
いずれにせよ、彼は楽しそうだった。
「……で、気が付きゃこっちが引っ張られてんだ。いつの間にかここまで来ちまってた」
「いい子じゃないですか」
「バッカお前、いい奴なもんかよ。たまにグーが出るんだぞあのバカ」
グーは辛いな。二人して笑う。ちょっと徹夜テンションみたいなものが入ってる。
これを越えれば、晴れて年明けだ。そして無事越えられるかどうかについて、タクさんはまったく心配していない。
「……好きなんですね、猫」
「あぁ?」
「信頼し合ってる。いい関係だと思いますよ、俺は」
「はっ、なぁにが。……けどま、お前がそう思うんなら、そうかもな――――」
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