【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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213: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/08/22(木) 00:29:39.53 ID:rmOYl90d0

 と、見慣れた同僚が戦場帰りみたいな顔でやって来た。

「ウス」
「タクさん。どうも」
「わりーな手伝わせちまって。お前こういうの苦手なんだろ?」

 すぐ隣に座り、タクさんは胸ポケットから慣れた手つきで煙草とライターを取り出す。

「仕事ですから。……あと、喫煙所外ですよ」
「げっ、ここダメなのかよ! ったく最近じゃどこもかしこも分煙分煙ってなぁ……」

 346プロも近年分煙化が進み、社屋の各所に喫煙ルームが作られていた。
 そういえば今西部長も結構なスモーカーだったなと思い至る。彼も似たような愚痴をこぼしているのだろうか。

「舞台の方は整いましたか?」
「んまぁ、やるこたやったな。こっから先はアイツらの出番だ」

 一見するといつも通りの調子だが、彼の横顔には充実感が見て取れる。
 残るはアイドル達の本番のみ。細工は流々、仕上げを御覧じろ……という感じだ。


「どうですか、プロデューサーの仕事は」
「んぁ? あンだよ藪から棒に」
「タクさん、最初はやる気なさそうだったじゃないですか。見違える勢いですよ、今。自覚ありません?」
「あ〜〜〜〜、まァな……」




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