【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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212: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/08/22(木) 00:28:22.05 ID:rmOYl90d0

  ◆◆◆◆


 その日は、朝からちらほらと雪が降っていた。


 年の瀬。346プロアイドル部門の本年の総決算、年越しニューイヤーライブの当日だ。


 最終的な段取りを何度も確かめ、ゲネを終えて意気軒高のアイドル達。
 大きなドーム型ホールを貸し切り、戦場のような事前準備を終えた後、スタッフ達も完全に覚悟が決まっている。

 そのある意味最前線、物販ブースに俺はいた。
 吐き出す息が雲のように白い。スタッフジャンパ―を羽織っていても身を差すような寒さだが、「寒い」などと口に出す暇さえ無かった。
 開場前から既に長蛇の列。ずらっと並べた長机にグッズを山積みにしてお客さんを捌く捌く。
 時間があっという間に過ぎて、気が付けば休憩所のベンチでくたばっていた。

「…………凄いな」

 交代要員に後を任せ、独りごちる。

 凄い客数だった。あれほどの人々がみんな、346プロのアイドル達を見に来ているのだ。
 俺はずっと、アイドル部門をできる限り見ないようにしていた。
 だから364のアイドルブランドの成長をはっきり目の当たりにするのは初めてで、情けない話だが今さらながら度肝を抜かれた。




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