【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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211: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/08/22(木) 00:26:58.89 ID:rmOYl90d0

  ◆◆◆◆


 芸能事務所において、世間一般で言う「楽しいイベント」は「超忙しい時期」と同義だ。
 師走とはよく言ったもので、偉い人から下っ端までそこらじゅうを走り回る勢いで働いて働いて働いて。
 クリスマスにもまたイベントがあり、最初から予定もクソもない社畜には余暇を気にすることもなく、事務所に泊まり込んで。
 てっぺん回った頃に千川さんが買ってきたファミチキでせめてものクリスマス気分を味わったりして。

 そして、アイドル部門の年越しニューイヤーライブが近付く。

 もう総動員だ。当然俺も駆り出され、アシスタントとして会場をあちこち走り回ることとなる。
 本番は近い。イコール今年ももう終わるってことで。


 ――高垣さん。今年いっぱいで辞めるそうじゃないですか。


 目まぐるしい業務の中で、千川さんの言葉が脳裏に蘇る。



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