【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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210: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/08/22(木) 00:25:25.18 ID:rmOYl90d0

 ヨネさんは言い終えた後、照れたように「なんてな」と付け加える。
 思いがけず真面目っぽい空気になり、沈黙が降りた。

 ふと、タクさんがポケットからスマホを取り出して、何かの再生ボタンを押す。

『同じような誰かの穴を、埋めてあげられるんじゃないか……みたいな』

「って!! なんで録音してるんだよ!?」
「いや、なんかイイこと言ってんなぁと思って……」

 消してくれ、いーや消さない、今度の飲み会でネタにする、とかなんとかわちゃわちゃやり始める二人の横で、俺は考え込んでいた。
 いつしかコーヒーは空になっていた。
 空き缶を指で弾いたように、ヨネさんの言葉は思いのほか自分の中で響いている。

 似たような誰か。

 それは、誰だろう。本当にいるのだろうか?

 どうすれば、足りない「何か」に気付けるのか?
 嫌いなアイドル。人形の夢。いつも通りの仕事。近付く年の瀬。
 ヒントが、どこにも見つからない。




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