【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
1- 20
151: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/14(日) 01:00:48.74 ID:TmI5fe2I0

  ◆◆◆◆


 結局、最終的には足で稼いだ。
 川島さんと作ったリストを参考に、心当たりのある居酒屋、無い居酒屋、銭湯に健康ランド、近郊の温泉地。
 片っ端から当たってそれでも外し、迷子みたいに途方に暮れた時。

 しとしとと、秋雨の振る心細い夜だった。
 高垣さんは存外に近いところで見つかった。

 数か月前の春、酔っ払いの俺が通りがかった、神田川にかかる大きな橋。

 その欄干の上に。

 最初との違いは、彼女が背中ではなくこちらを向けていたということ。

 相も変わらず細いヒールで、通りがかる人々に何故か気付かれもせずに。
 ビニール傘に街灯の光を照り返し、最初から俺のことを見ていた。


「……高垣さん」
「こんばんは、Pさん。お久しぶりですねぇ」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
328Res/204.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice